尿路結石の最新治療 「ESWL治療」と「f-TUL治療」

先日のワールドビジネスサテライトの「治る！最前線」というコーナーで放送されていた尿路結石の最新治療が興味深かったので紹介します。
尿路結石と診断される人の数は10年で1.6倍に（1995-2005）増加しており、10人に一人が一生に経験すると言われています。私の周りでも母や友人、会社の上司も尿路結石になったことがあるので、決して他人ごとではありません。

尿路結石とは

尿路結石は主にカルシウムなどが固まったもので、腎臓などにできた結石が尿管などに落ちて激しい痛みがおきるのが主な症状です。しかし、大きな結石になるとその場に留まり症状が現れないまま腎臓の機能が落ちてしまい、腎不全で腎臓の機能が低下すると心臓に影響が出てきてしまいます。
尿路結石の主な原因は肉中心の食生活やカロリーの取り過ぎなどで、生活習慣病のひとつとされています。
これまでは大きな手術が必要だった結石に体に負担の少ない治療法が生まれています。

体外衝撃波 結石破砕装置を使った「ESWL治療」

とても痛いものだと思われがちですが、痛みのない結石にも危険が潜んでいる尿路結石。40代の男性患者は半年ほど前に尿に血が混じっているのに気づきました。患者の病は尿路結石で、その大きさは 2cm と結石のなかでも大きなものでした。
結石は激しい痛みを伴うことが多いのですが、背中がだるかったくらいで自覚症状が無く、体の異常に気が付かなかったそうです。

患者は体の外から衝撃を当てて結石を砕く治療を受けることに。治療に使うのは最新式の「体外衝撃波 結石破砕装置」を使ったESWL治療です。

衝撃波は水の中だけで伝わるので、患者の背中に機器が密着するようにセッティングします。中心の筒から衝撃波が発生し水を伝わって反射材に当たり結石に届きます。臓器などの柔らかい組織は通過して硬いものにはぶつかる性質を利用しています。

レントゲン撮影で結石の場所を確認します。医師が画像を確認しながら衝撃波を当てる位置を決め結石に焦点を合わせます。約40分間で2000発の衝撃波を当てます。以前は結石以外の部分にも広く衝撃波が当たり、全身麻酔が必要なほどの痛みだったのが、最新型の機器では軽い鎮痛剤のみで治療ができるようになりました。

治療後のレントゲン写真です。治療後に結石が散らばっているのがわかります。砕かれた結石は3ヶ月ほどかけて尿と一緒に排泄されます。
痛みが少ないので患者は日帰りで治療することが可能です。結石がよく割れるようになったので以前より大きな結石が1回の治療で大丈夫になったそうです。体に負担なく早く復帰できるのが大事で、体外衝撃波はそういう点では有効な治療となります。

治療費は保険適用で約6万円です。

軟性鏡を使った「f-TUL治療」

体外衝撃波で砕けない結石に対しても患者に負担の少ない治療が進んでいます。
腰の痛みが気になり受診した60代の女性患者は、右の腎臓の出口に大きな結石が見つかりました。その大きさは3cm近くのかなり大きな石です。大きな結石だが受診するまで気付かなかったそうです。検査の結果から、結石が非常に固く衝撃波では砕きにくいと診断されたため、結石を直接砕く治療を受けることになりました。

軟性鏡と呼ばれる内視鏡です。直径は2.8mmで270度自由に動かすことができます。

この内視鏡でf-TUL治療を行います。尿道から内視鏡を入れ腎臓の入り口に出来た結石をレーザーで砕きます。細くて曲がる軟性鏡ができたことで尿道から遠い腎臓も内視鏡で治療できるようになりました。

治療後のレントゲン画像です。結石が粉々に砕けて広がっているのがわかります。3cmもあった結石の大きさは2mmほどになっています。治療後は尿と一緒に出てくるのを待ちます。

今の軟性鏡は270度回転するので上方の結石など、腎臓の位置のほとんどにアプローチが可能になりました。

治療費は保険適用で約7万円、2日ほどの入院で退院ができます。

知らないうちに重大な病を引き起こすこともある尿路結石ですが、患者に負担の少ない治療法が進化を続けています。